HTTP/2とHTTP/3の比較

HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、World Wide Web上でデータ通信を行うためのプロトコルであり、Webブラウザからサーバーへのリソースアクセスを可能にします。HTTPは1989年に最初に導入され、2015年にHTTP/2がリリースされ、当時最も広く使用されているネットワーク通信プロトコルとなりました。しかし、ユーザーエクスペリエンスの向上とHTTP/2の制約の克服を目的として、2022年にHTTP/3が発表されました。この記事では、HTTP/2とHTTP/3の利点と欠点を分析し、問題を評価します。

1. HTTP/2とHTTP/3の起源と登場

HTTP/2: 2015年に導入され、HTTP/1.1の残存問題の解決とパフォーマンスの向上を図りました。効果はあったものの、HTTP/2にはいくつかの制約が残っており、ヘッドオブラインブロッキング、サーバープッシュの難易度、および並行リクエストの処理の問題などがありました。

HTTP/3: 2022年に開発・発表された、HTTPの第3のメジャーバージョンで、不安定なネットワークで優れたパフォーマンスを発揮するQUICプロトコルをベースに構築されています。

2. HTTP/2とHTTP/3の共通点

HTTPベース: HTTP/2とHTTP/3の両方は、クライアントとサーバー間の通信において同じ構文とメソッドを使用するHTTPプロトコルに基づいています。 マルチプレキシング機能: 両バージョンとも、マルチプレキシングをサポートしており、同じ接続で複数のリクエストやレスポンスを送受信することでデータ転送の効率を向上させています。 ヘッダーの圧縮: 両バージョンとも、ヘッダーの圧縮によりデータサイズを削減し、通信速度を向上させることができます。 優先度付け: HTTP/2とHTTP/3の両方でリクエストの優先度を指定できるため、同時に発生するリクエストに対して優先度を設定することができます。

3. HTTP/2とHTTP/3の違い

トランスポートプロトコル: HTTP/2は伝統的なTCP(Transmission Control Protocol)を使用していますが、HTTP/3はUDP(User Datagram Protocol)を介して通信するQUIC(Quick UDP Internet Connections)プロトコルを使用しています。QUICはネットワークエラーの処理能力が高く、不安定なネットワーク環境での信頼性とパフォーマンスが向上しています。

レイテンシ(遅延): HTTP/3はHTTP/2に比べて遅延が大幅に削減されています。QUICプロトコルのMultipathやConnection Migrationなどの機能により、HTTP/3はネットワークの変化に柔軟に対応し、接続を最初から再確立する必要がなくなります。これにより、遅延が大幅に削減され、ページの読み込み時間が改善されます。

信頼性: HTTP/3はQUICプロトコルを使用し、ネットワークエラーの処理能力が向上しています。ネットワークの一時的な切断やIPアドレスの変更などのエラーが発生した場合、QUICはTCPに比べて迅速に接続を再確立し、通信を継続することができます。

セキュリティ: HTTP/3はQUICプロトコルを介してデフォルトでセキュリティが組み込まれており、エンドツーエンドでデータを暗号化し、UDPのプロトコル暗号化機能を提供します。これにより、HTTP/3はHTTP/2に比べてセキュリティが強化されています。

逆互換性(バックワード互換性): HTTP/2は現在のブラウザやサーバーで広くサポートされていますが、HTTP/3はQUICプロトコルのサポートをブラウザとサーバーの両方で必要とします。つまり、全体的なネットワークシステムでHTTP/3を展開するには、HTTP/2へのアップグレードよりも時間と労力が必要です。

つまり、HTTP/3 には、HTTP/2 に比べて、遅延の短縮、信頼性の向上、セキュリティの向上という点で多くの点が改善されています。 ただし、HTTP/3 の実装ではブラウザとサーバーの両方を更新する必要があり、現時点では HTTP/2 ほど広くサポートされていません。